転居・転職ツアーの自己紹介
つかだ一未

 


2拠点居住の成り立ち

 

 2拠点住居(東京で仕事をし鋸南に編集室)という生活は2年前から始めました。
 高卒以来、ほぼ出版業に生きてきて、今でも本をつくる編集長の仕事と文章教室の講師を東京、千葉で受け持っています。その中で、全国の受講生に「やさしい文章教室」の添削、書き方を通信(インターネット)で指導しています。この作業はパソコンがあれば指導もほぼ完結します。東京にいなくてもできる仕事です。
 そこで、出版本の倉庫管理と通信制度の仕事を、もう一つの拠点・千葉県鋸南町で展開することにしました。東京から1時間余、高速バスが頻繁に出ていて行き来も楽です。何よりも自然がいっぱいで温暖です。
鋸南町に来て驚いたことがあります。「千葉県で1番、関東で2番目に過疎化の町」というのです。小さい頃から海水浴などに親しんでいた房総地方は、どんどん人口が減り、民宿はなくなり、シャッター通りの駅前、空き家が700軒もあるのです。
こうして私は、月の半分を東京で仕事をし、残りを鋸南町に移動して、仕事と町おこしの手伝いを始めました。これが2拠点住居になった経過です。

 


ジャーナリストの町おこし


 転居・転職ツアーは、対象者の仕事や生活をじっくり疑似体験したり、見学して参加者の今後に活かす計画が定番です。
 私のツアーは2拠点居住、それも出版編集と町おこしの両面を見て、知っていただく内容です。
 編集は本づくりも40年以上の経験ですが、この中では業界紙の記者やミニコミ誌の編集、指導もやってきました。ですから文章を書くこと、編集作業、レイアウト、デザイン、企画の立て方など全般にかかわってきました。
 町おこしでは、情報誌の発行とインターネット発信を試みています。建物を作ったり物産を開発したりの挑戦は全国どこでもやっています。が、「町おこしのポイントは教育と文化で人材を育成すること」と知り、「野水仙つうしん」というリーフレットを紙媒体とインターネットで発信しています。
 この「野水仙つうしん」の取材で知り合った人びとを内外に知らせ転居、転職を働きかけています。
 海と里山で自然いっぱいの暮らし、スローライフと仕事探しをじっくり見てもらいます。葛飾北斎に影響を与えた彫刻家「波の伊八」、源頼朝が再起をはかった由来の地、カーネーション、水仙の花が一年中咲いている観光も案内しています。

 

 

どんな人へ参考になるか

 

 今までの企画と今後の計画を具体的に知ってもらうと、参加者自身のイメージになるでしょうか。
①若者で転居、転職して田舎暮らしを体験したい人
 オーガニック(自然)の生活、仕事を取り入れている人の案内。ランチ専門、山奥で不起耕作物の山小屋食堂。母子暮らし、ログハウス風カフェで店と子育てをする30代シングルマザー。土地付き農家を格安で借り、1万坪を耕作し「道の駅」で販売する独身男性。格安民家を借り、休みを利用してやがてシェアハウスを開く独身男性。
 もちろん、団塊の人たちの転居、スローライフの生活も紹介しています。地方公務員で早期退職しビオトープと自然農法で余生を送っている人もいます。


②今の仕事を続けるか、新しい仕事を探す人
 都会で現在の仕事を続け、週末に田舎暮らしを希望する人にも最適です。東京、新宿、横浜、千葉の各駅から特急バスが頻繁に発車しています。東京から約1時間余です。バス停まで自家用車で行き、無料の大駐車場に止め通勤しています。もちろんJR内房線、フェリーでも通えます。
転居するのには新しい仕事探しがポイントです。若者なら農業や漁業もありますが、体力がない人にも仕事はあります。一番は「地域おこし協力隊」、男女年齢は問いません。各市町村で働いていますが3年間の期限付き。農業法人の事務、ホテルの掃除、事務の仕事、花栽培の手伝い、まったくの素人女子なのに農業の先輩に教わって自営をめざす若者もいます。


③2拠点住居で仕事と暮らしに変化を
 私は仕事もやりながら町おこしボランティアや釣りに相当、時間をさいています。何より魅力的なのは目の前に青い海が広がり、イオンいっぱいの里山におおわれている自然です。
 一番いいのはネットで会社とやりとりできる人、あるいは加工品や手作り品を地元とインターネット販売でやれる人は最高。塩を加工したり、農産物を直販でレストランに出荷したり、花を近隣の朝市やネット販売している人もいます。
 何よりも大切なことは、仕事も住居も一気に決めず(目安として借家は庭付き1軒家で最高5万円、安ければ半額以下)、何回か訪問して町の状況、仕事や住居の情報をしっかり見て検証することです。私は何人もそういう案内をしています。

 

 

ツアーの特徴

 

 さて、私のツアーの特徴と鋸南町の町おこしを少し説明します。
 編集者の私は取材や文章の指導に長くたずさわってきましたから、インタビューの仕方、事前準備の調べ方、原稿の書き方は一応、経験があります。仕事の関係で今井正、山田洋次監督、いずみたく、森村誠一、井上ひさしなど著名人との接触もありました。大変なのは村のおばあさん、普通のおとうさんなどの取材です。
名所旧跡調べもパンフレットや資料にあるものは簡単ですが、自分がどう感じたか、参加者は何を思ったかなどを感じとることです。物ではなく人間の発見です。
 楽器は狩猟のために弦楽器になり、呼吸を合わせるためにソーラン節は生まれ、後世に伝承するために洞窟に絵を描きました。観光をする場合にも、そんな学びがあると豊かになります。
 どの自治体も必死で改革し、人口増加に真剣です。しかし、結論から言いますと、いくら建物や制度に投資しても過疎化は止まらないようです。若い転居者が増え、都会に出て行った地元の人が戻ってくる傾向は難しい。
 単刀直入にわかりやすく言いますと、「町おこしは人を育てなくて発展しない」のです。あなたも、その目で鋸南町の実際を見てエネルギーにしませんか。

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